2010年4月13日火曜日

ホームオブハート訴訟、被害者の“完勝”で和解=TOSHIの脱会が転機に

2004年に児童虐待問題が発覚したHOH本部
 自己啓発セミナー「ホームオブハート(HOH)」からX JAPANのTOSHIが脱会したことを受けて、TOSHIを含めたHOH側とHOH被害者との間で争われていた10件の訴訟のうち8件が、和解や取り下げによって終結しました。HOH被害者側の代理人を務める紀藤正樹弁護士がブログで明らかにしました。被害者側の“完勝”とも言える、実質勝訴的な和解です。

【弁護士紀藤正樹のLINC TOP NEWS-BLOG版 2010年04月13日】ホームオブハート事件:全面勝訴的和解の成立-2004年4月以前の被害者についての勝訴的和解のご報告

 報告が遅れましたが、ホームオブハート側を裁判で訴えてきた消費者被害者5人(山本さん、Kさん、Cさん、Oさん、Yさん)の事件は、このたび、ホームオブハートと勝訴的和解をし、ほぼ全面的な解決に至りましたので、「ホームオブハートとToshi問題を考える」に、経過を報告します。


 なお僕も、今回和解した被害者も、今後も、ホームオブハートの活動を続けるメンバー(TOSHIと同様、被害者と評価できるメンバーもなお残っています。)らへの救済活動や、新たな被害者を出さない活動など、ホームオブハートへの追及の手は緩める気はありませんし、またホームオブハートを脱会してくる被害者らへの暖かい手を差し伸べるつもりでいます。
 
 この点は、ホームオブハート問題に関心を持つ、すべての皆さんにご報告したいと思います。


 この間水面下でいろいろあって、ご報告が遅れ、心配をおかけしたこともあったと思います。心からお詫びします。

 そして2004年に訴えられて以降、多くの人に、物心両面において、支えていただきました。

 とにかく感謝します。

【弁護士紀藤正樹のLINC/ホームオブハートとToshi問題を考える 2010年04月13日】ついにホームオブハートと全面勝訴的和解が成立

 報告が遅れましたが、ホームオブハートを訴えてきた消費者被害者5人(山本さん、Kさん、Cさん、Oさん、Yさん)の事件は、このたび、ホームオブハート側(具体的には、株式会社ホームオブハート、MASAYA=倉渕雅也=本名倉渕透、TOSHI の元妻:守谷香=森谷香=出山香=WANKU、同社代表取締役社長加田順子、同社会長代表取締役会長桃井多賀子、その外子どもたち5人とその母親3人。)と勝訴的和解をし、ほぼ全面的な解決に至りました。

 実は、TOSHIの破産(2010年1月6日)・TOSHIの真相を明らかにした記者会見(2010年1月18日)の後、2010年2月4日に、突如、ホームオブハートの代理人から和解の打診がありました。

 当初は、被害者側も和解打診ですら受け入れるつもりはまったくなく、2月9日には、山本さんの本人尋問を実施し、結審(2010年3月15日付)に向けて、最終準備書面を出すだけであったOさん、Yさん事件の最終書面の準備も着々と進めていたのですが、その後、ホームオブハートは、僕や山本さん、Kさんらを訴えている訴訟をすべて取り下げること、僕への懲戒請求2件(実は昨年12月11日付で「懲戒しない」という決定が第二東京弁護士会に出されたのですが、これに対してホームオブハート側が、日本弁護士連合会に異議を出していたもの)を取り下げること(すなわち被害者や僕への言論妨害・業務妨害訴訟等をすべて取り下げること。)、加えて消費者被害者5人(山本さん、Kさん、Cさん、Oさん、Yさん)に対し、被害実損害額に、実務上、判決で勝訴判決が出された際に認められる約1割の慰謝料と約1割の弁護士費用の合計約2割を加算した額を、さらに大幅に上回る案を提示してきました。

 すなわちこのような提案は、この間、僕や被害者らの主張を、でっちあげなどと述べてきたホームオブハートが、被害者側の請求をすべて認めるものであり、言わば白旗とも言えるものであったことから、被害者らとしては、2004年4月から続く、一連の紛争にいったん終止符を打つこととし、結審間際のOさん、Yさん事件の裁判の中で、この勝訴的和解を受け入れることにしました(2010年3月10日)。

 但し被害者側として、ホームオブハートの資力に不安があったため、和解の義務の履行として、まずホームオブハート側からの訴訟等の取り下げと支払いを先行させることとし、この結果、先週金曜日(2010年4月9日)に、最終的な和解額全額が振り込まれてきましたので、昨日(2010年4月12日)、被害者側の訴訟について、こちらで取り下げるべきものは、すべて取り下げました。

 これにより、2004年以前に生じた消費者被害者のホームオブハート事件は、ほぼ解決したと評価できます。

 なおこの間、TOSHIが代表取締役をつとめるトシオフィスが、4月7日付で破産し、TOSHIと同一の破産管財人が就任しました。破産は、委任の当然終了事由※ですので、今までTOSHI及びトシオフィスについていたホームオブハート側の代理人弁護士全員の代理人権が消滅しています。

  ⇒破産手続開始通知書=PDFファイル
 
※(委任の終了事由)
民法第653条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
 一  委任者又は受任者の死亡
 二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
 三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。


 そのため今回の和解は、TOSHIとトシオフィスを除いた和解となりましたので、なお48部事件、C事件(最高裁)、K事件(東京高裁)は、TOSHIとトシオフィスとの関係では終了せず、事件として係属しています。

 この点は、今後、破産管財人との話し合いとなりますが、TOSHIも、当然にホームオブハートの被害者と評価できますので、被害者らと、課題は共通です。

 したがいまして、今後は、TOSHI及びトシオフィスの破産管財人に協力しつつ、これまで以上に、TOSHIを含めた新たなホームオブハートの被害者の救済を続けていく決意であり、これからもなおホームオブハートとこの団体を支えるMASAYA=倉渕雅也=本名倉渕透、TOSHI の元妻:守谷香=森谷香=出山香=WANKU、加田順子、桃井多賀子ら幹部「信者」の責任を追及していく所存です。

 今後も、僕と、被害者らを応援していただければ、幸いです。

今後も、すべてホームオブハート問題の活動費として使わせていただきます(感謝!!)。
・郵便振替口座:000270-1-78416 「ホームオブハート被害者を支援する市民の会」
・銀行口座:みずほ銀行麹町支店 普通預金口座番号 8104723 名義人 弁護士紀藤正樹を支える会 (略称「弁護士紀藤を支える会」でもお振込みが可能です。)

[参考]
・カテゴリー 2004-4 ホームオブハートとToshi問題を考える
http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/cat7089127/index.html
・2010.01.21 今日事務所宛に届いた官報に、TOSHI(出山利三氏)の自己破産が広告されていました。 http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2010/01/ethunder-b2c3.html
・2010.01.19 とても感慨深い-TOSHIの記者会見
http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2010/01/toshiyoutube---.html
・2010.01.19 昨日のTOSHIの記者会見を受けての感想
http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2010/01/ethunder-199b.html
・過去の裁判日程⇒裁判日程BLOG

2009年10月の勝訴判決の際、会見で笑顔を見せる被害者側弁護士や支援者
■訴訟はのべ10件

 HOHをめぐっては、TOSHIがX JAPANを脱退した翌年の1998年、HOHと実質的指導者のMASAYAにTOSHI心酔していたことが発覚し「TOSHI洗脳騒動」に発展。2004年には、HOH関連施設で子ども5人が児童相談所によって保護される「児童虐待問題」が発覚しました。その後、HOHから多額の金銭を取られていたとする被害者らがHOHやMASAYA、TOSHIなどを相手取って、損害賠償を請求する訴訟を提起。一方、HOH・TOSHI側は、被害者やその代理人弁護士を相手に、「名誉棄損」を理由に提訴。これに対して被害者や代理人弁護士も「名誉棄損」を理由に提訴しており、全て合わせると、訴訟の件数は10件にのぼります。うち3件では被害者側勝訴の判決が地裁・高裁で出ていますが、いずれも上訴され係争中でした。

 これら10件のうち、TOSHIやTOSHIオフィスが原告となっている訴訟が2件あり、今回、終結したのは残りの8件です。TOSHIとトシオフィスは自己破産しているため、TOSHIの訴訟2件については破産管財人にゆだねられています。

 「ホームオブハートとToshi問題を考える会(HTP)」の山本ゆかり代表は、本紙の取材に対し、7年にわたる裁判をこう振り返りました。

「短い言葉ではとても語りきれません。全ての被害者にとって、また弁護団の先生方にとって、一連の訴訟はあまりにも負担の大きいものでした。しかし、この7年間の法廷での戦いがあってこそTOSHIの脱会、そして今回の和解に繋がったと思うと、感慨深いです」
今年1月、HOH脱会を表明したX JAPAN・TOSHI
■TOSHIはエラかった

 長きにわたる訴訟が転機を迎えたのは、今年1月。それまでHOHの広告塔を務めていたTOSHIの脱会でした。記者会見でTOSHIは、12年間にわたって収入の全てをHOHに収奪されていたことを告白し、自己破産したことを報告しました。これによって、HOH側として各訴訟にかかわっていたTOSHIの訴訟対応は破産管財人にゆだねられ、それまでの訴訟でTOSHIの代理人を務めてきた弁護士が辞任。その影響で、全てのHOH関連訴訟の進行がストップしていました。

 TOSHIの脱会によってHOHは被害者に対する「戦意」を失ったようです。HTP・山本代表によると、今回の和解はHOH側から申し出てきたとのことです。

「HOHでのTOSHIの役割が大きかった分、本人が背負う責任も大きく、またTOSHI本人が受けた被害もその分大きいわけですが、TOSHIが脱会したことによりHOHが受けた衝撃も相当に大きかったのではないかと思います。これがHOH側から和解を申し出るにいたった動機の一部になったのではと想像しています。特に、脱会に際してTOSHIがHOHらから被害を受けたことを明確に表明したのは、HOHらにとって大きな脅威になったと思います」(山本代表)

 HOHを脱会するまでTOSHIは、HOHの広告塔として被害者を生みだしていたばかりか、被害者側の主張を「デッチアゲ」などとして、被害者やその代理人弁護士を誹謗中傷してきました。訴訟においてのみならず、TOSHIのコンサートでも類似の発言を繰り返していました。このことから本紙・藤倉は、HOHのみならずTOSHIについても厳しく批判を繰り返しており、TOSHI自身から「(裁判で)訴える」と訴訟予告をされたこともありました。

 しかしTOSHIはHOH脱会によって、訴訟の終結に大きく寄与したことになります。その点を高く評価し、TOSHIを讃えたいと思います。もちろん、TOSHIの脱会は、被害者や代理に弁護士たちの長く苦しい努力があったからこそ実現したものです。彼らに、よりいっそうの称賛を送りたいと思います。

昨年、まだHOHの広告塔だったTOSHIを「目薬発売100周年」キャンペーンに起用したロート製薬のプレスリリース
■「HOH問題」は、まだ終わらない

 これまでの訴訟は終結しましたが、HOHにはいまも現役で活動しているメンバーがいます。冒頭に紹介したブログで紀藤正樹弁護士は、「ホームオブハートへの追及の手は緩める気はありません」としています。

「今後も課題は山積です。今もHOH内で生活する人たちの中には、外部に子供がいる人がいます。一般社会で暮らす親御さんたちも高齢になってきています。一日も早い再会を願っています。今後、HOHは名前を変え、表向きの手段を変えながら活動を継続していきますので、今後の動向が気になります。HOH脱会前のTOSHIの“エコ”“平和”等の言葉を入り口に信じ込まされた個人や企業、特に私たち被害者の言葉に耳を貸さなかったロート製薬等が、今の事態を受けて今後どのような後始末をつけるのかにも注目したいと思います。また、HOH側に立って陳述書、意見書、準備書面等を裁判所に提出し、私たち被害者やその代理人弁護士を人格攻撃した弁護士その他の人たちの責任も、非常に重いと思っています」(山本代表)

 これまで、被害者側が提起した訴訟は、すでに発生した被害を回復するためのものでした。しかし被害者たちは、訴訟の過程でHOH側から口汚い誹謗中傷や、HOHの広告塔としてのTOSHIを自社キャンペーンに起用したロート製薬の心ない態度によって、傷口に塩を塗るような仕打ちを受けてきました。

「和解しても、HOH・MASAYAのセミナーに加えて一連の訴訟を通じて受けた大きな心の傷や、奪われた時間は戻ってきません。様々な事情で訴訟を起こせなかったために、今回の和解の対象になっていない被害者もいます。これからが、本当の意味での被害回復、被害防止へ向けての再スタートだと思っています」(山本代表)

 現在もHOHに残る人々だけではなく、今回の訴訟で和解した被害者たちにとっても、「HOH問題」はまだ終わってはいません。

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